6月のシンデレラ



「あれ、どちら様?」


出てきたのは知らない男性だった。

え、え、え。

そちらこそどちら様?

一瞬部屋を間違えたかと思って、部屋番号と表札を見直してしまった。
間違いなく青人さんの部屋だ。


「えっと……」

「えっ!もしかして青人の彼女!?」


彼女…なのでしょうか……。


「――(たくみ)!」


あ、青人さん…帰ってきた。


「お、青人」

「何してるんだ!」

「何っていつも通りだけど」

「はあ…ごめん永美里……」


青人さんはやれやれと額を押さえていた。


「こいつ、幼馴染の白凪(しらなぎ)(たくみ)

「どーもー!初めまして!」


……ああ、なるほど、この方が噂の幼馴染さんなのね。


「は、初めまして…」

「俺の彼女の美兎永美里さん」

「……!」


青人さん、今私のこと彼女って……


「……えみり?えみりってまさか、青人が初恋こじらせた――、」
「巧。今日は帰ってくれないか?」

「え、でも」

「帰れ。また連絡するから」


ペイっと巧さんを追い出し、ガチャっと鍵を閉めてしまう青人さん。


「おーーーい!?なんでだよ!!」

「は、青人さん…いいの?」

「いい。ほっとけばいいから」


そんなこと言われても……。


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