6月のシンデレラ


的のど真ん中を射抜きに……。


「だから、あいつのこと信じて、もう少し待っててくれないかな」

「わかりました」

「それより聞いてよ永美里ちゃん!この前合コン行ったんだけど、ビビビッ!とくる子に出会えちゃったんだ!」

「そうなんですか。よかったですね!」

「今度デートに誘いたいんだけど、なんて言えば……」
「巧。」


いつの間にか巧さんの背後に青人さんが立っていた。


「青人!」
「青人さん、お帰りなさい」

「ただいま。永美里、明日は仕事?」

「いえ、明日はシフト休みよ」

「それなら、一緒に来て欲しいところがあるんだ」


いつになく青人さんは真面目な表情だった。
それを見た巧さんがニヤッとする。


「どうやら的は射抜けたみたいだね」

「…まあな」

「頑張ったな青人〜!永美里ちゃんのために…!!ちょっと感動しちゃうよ。どうする?前祝いにパーッと飲む?」

「巧、お前は帰れ」

「え。」

「永美里についててくれてありがとう。色々気を回してくれて助かった。また連絡するから今日は帰れ」

「えーー!?なんで!?」


デジャヴな光景だなと思いつつ、青人さんが巧さんをグイグイ押して家から追い出すのを見ていた。
こんな風に雑な対応ができてしまうのも、きっと仲が良い証拠なのだろう。


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