6月のシンデレラ
そうだとしても、舞ちゃんに迷惑はかけたくない。
私は昔からずっと舞ちゃんに支えられてきた。
つらい時もずっと舞ちゃんが傍にいてくれた。
舞ちゃんがいてくれたから、今の私がいる。
「ありがとう、舞ちゃん。
でも、これは私のことだから自分でどうにかしたいの」
「永美里…」
「大丈夫、ちゃんと話せば伯母さんもわかってくれるわ」
なんだかんだで家族なんだもの、きっと大丈夫。
それでも舞ちゃんは納得いかない様子で、複雑そうな表情を浮かべていた。
* * *
「こんにちは、永美里ちゃん」
「こんにちは〜。今日もよろしくお願いします〜」
舞ちゃんと別れた後、子どもの頃から通い続けている馴染みの美容院に行った。
中学生の時からだから、もう8年くらい通ってる。
店長の馬野さんはずっと私の担当をしてくれていて、その縁で今でもサービスしてくれる優しい美容師さん。
「今日はどうする?」
「いつもと同じでお願いします」
「OK。リュウ、シャンプー頼むよ」
言われてやって来たのは、分厚い牛乳瓶みたいなメガネをかけた人だった。
新しいアシスタントさんみたい。
「…シャンプー、入らせていただきます」
新しいアシさんはとても無口な人だった。
美容師さんって喋りが得意なイメージだったけど、そうでもないらしい。