6月のシンデレラ


今まではポストに鍵を入れて、それを使っていたのだけれど…私専用のってこと……?


「いいの…?」

「いずれは引っ越すと思うけど、それまでの間はこれ使って」

「引っ越すの?」

「この家は二人で住むにはちょっと狭いでしょ?ベッドも狭いし、落ち着いたら二人で住む家を探そう」


…嬉しい。

これからもずっと一緒にいていいと言われているみたいで。
当たり前に先の未来を想像させてくれることが、とても嬉しい。

私は向きを変えて正面から青人さんに抱きついた。


「ありがとう、青人さん…すごく嬉しい」

「永美里…」


優しく抱きしめられて、触れるだけのキスをして。
それだけで心がいっぱいになる。

青人さんがいてくれるなら、他には何もいらない。


「…永美里、明日うちの両親に会って欲しいんだ。主に父に」

「青人さんのご両親に?」


確か青人さんは実家に勘当されたと言っていたけれど、いきなり私が訪ねて大丈夫なのかしら。


「うちの家はだいぶ変わってるし、もしかしたら永美里に嫌な思いさせるかも…」

「そんなこと絶対ないわ。昔にもお邪魔したことあるし、今より酷いことなんてないわよ」


あっ、つい本音が出てしまった。
思わず口を押さえると、青人さんはおかしそうに笑う。


「ははっ、そうか。それなら大丈夫かもな」


そう言ってまた私を抱きしめてくれた。


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