6月のシンデレラ


青人さん、私のためにそこまで――……


「だが、一度勘当した息子を跡取りにしたら弟子たちにも顔が立たん。
青人は自ら跡取りの座を捨てたんだ。男が一度口にしたことを捻じ曲げるのは許さん」

「……。」


青人さんは無言だった。
お父様を真っ直ぐ私の目を見て言った。


「永美里さん、青人と結婚して九竜家の嫁になってくれないか」

「え……」

「そして、子どもが生まれたらその子を次の跡取りにしたい。永美里さんには嫁として家を支えてもらうことになると思うが、よろしいかな?」

「い、いいのですか?」


そんなことって、私にとっては願ったり叶ったりだ。
だって、私の夢が全部叶ってしまうんだもの。

こんなに都合の良いことがあっていいのかというくらい、嬉しすぎる。


「私っ、精一杯頑張ります!家事には自信があります!料理も得意です!
子どもも産みます!!」


力強く言い切ると、お父様は声をあげて大笑いした。


「はっはっはっ!それは頼もしい!」

「本当にいいんですか…?青人さんと一緒にいても……」

「息子をよろしく頼むよ」

「は、はい…っ!」


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