6月のシンデレラ
職場にも結婚の報告と退職の相談。
祝福してもらえたと同時に、寂しがってもらえた。
結婚式場を決めるのは、特に大変。
まず、洋装か和装かで青人さんとお父様が揉めてしまって…。
「式は無論和装一択だろう」
「永美里と俺の結婚式です。父さんが決めないでください」
私は和装でも全然いいのだけれど……。
「だったらどっちも着たらいいじゃない。永美里さんこんなに綺麗なんだもの、白無垢もドレスも絶対似合いますよ」
そのお母様の言葉で、まさかのウェディングドレスも白無垢も着ることに。
更にはお色直しのドレスまで。
もちろん式場も決めなきゃいけないし、決めたらまた色々と段取り決めがあるし、これは家柄特有なのか各所に挨拶もしなければならず…。
目が回るとはこのことかしら!
とにかくやることが多すぎる…!!
2ヶ月、3ヶ月とあっという間に過ぎていった。
「ごめんね、永美里」
この日は仕事終わりに結婚式の打ち合わせ。
深夜のベッドの中、青人さんが申し訳なさそうに私を見つめる。
「挨拶回りが多くて…正直こんなにやらなくていいって言ったんだけど、父がダメだって。
気疲れするでしょ?大丈夫?」
「大丈夫よ」
正直大きなお家の嫁になることを今更ながら実感していて、プレッシャーは感じているけれど…弱気になっている場合ではない。