6月のシンデレラ


* * *


翌日、ちょっとだけ寝坊してしまった。

青人さんはもう仕事に行ってしまっていないけど、ちょっと気怠くて甘さが残る朝。

久しぶりに何も予定のない休日だ。
逆に何をしたらいいか迷ってしまう。

こんな時は家事だ、と思ったけど、お母様に止められてしまった。


「永美里さん、最近忙しいでしょう?たまにはゆっくり羽を伸ばしていらっしゃいな」

「でも…」

「私今日は体調がとても良いんですよ。ずっと寝てばかりじゃ体も鈍るし、今日は家のことは私に任せてくださいね」


確かにお母様は顔色がいつもより明るい。

それならお言葉に甘えて、今日は久しぶりにお出かけでもしようかしら。

この機会に、青人さんがプレゼントしてくれた水色のパンプスを履いてみることにした。
私がずっと同じボロい靴を履き続けているのを見兼ねて、プレゼントしてくれたパンプス。

爽やかな水色でリボンがついていて、ヒールはちょっと高めでかわいらしい。
もらってばかりな気がするけど、私のために選んでくれたんだと思うとすごく嬉しい。

これを履いてお出かけするだけで、テンションが上がってしまう。

そうだ、この靴のお礼に青人さんに何かプレゼントを買おうかな?
指輪も青人さんが買ってくれることになってるし、私から何もあげられてないのよね…。

今節約中だけど、青人さんのプレゼントなら…!


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