6月のシンデレラ
8.不憫な憎しみ
――side.Haruto
仕事終わり、携帯を見てギョッとした。
母からの着信が何十件もきている。
何かあったのか……?
「もしもし、母さん?」
「青人っ!!」
「今仕事終わったけど、何かあった?」
「永美里さんが帰って来ないの…っ!!」
「え……」
永美里が……?
「お昼過ぎに出かけてから連絡もつかなくて…!何かあったのではないかと心配で…」
「っ、俺も電話してみる!」
一旦母との通話を切り、永美里の携帯に電話をかけた。
コール音が数回鳴った後、留守電になってしまう。
永美里、どうしたんだ……?
「もしもーし」
「巧!!永美里に会ってないか!?」
「え、永美里ちゃん?会ってないけど、てか今仕事終わったとこなんだけど」
「永美里がいないんだ!!」
「えっ!!」
舞子さんのところか……?
いや、だったら何か連絡してくるはず。
永美里は黙っていなくなることはしない。
やっぱり何かあったんじゃ……。
「僕も探すよ!舞子さんにも聞いてみる!」
「連絡先知ってるのか?」
「この前のパーティーで交換した!」
こういうところ抜け目のない奴だな…。
だけど、巧のコミュ力のおかげで助かった。
「ありがとう、頼む!」