6月のシンデレラ


今度こそ永美里を守ると決めたのに……

俺は何もできないのか……っ!!

自分の無力さに腹が立つ。


RRRRRrrr…


その時、着信音が鳴り響いた。
俺の携帯からだ。

慌てて画面を見たが、表示されていた名前は「非通知」だった。

ゴクリと唾を飲み込み、念のためにスピーカーにして…みんなに聞こえるようにしてから通話ボタンを押す。


「…もしもし」

「こんにちは〜」


……女の声?


「九竜青人さんですかぁ?」

「そうですが、あなたは?」

「お話するのは初めてですよね?
私、蛇塚(へびづか)祐巳(ゆみ)です〜」


な…、永美里の従姉妹の――?


「…蛇塚っ!!あんただったのね!!」


そう叫んだのは舞子さんだった。

顔を真っ赤にし、唇を震わせて怒りを滲ませている。
そういえば、舞子さんと蛇塚祐巳は中学の同級生だと言っていたな。


「あら、その声は荒波(あらなみ)さん?お久しぶり」

「永美里をどこへやったのよっ!!」

「永美里は無事よ。お姫様みたいにおねんねしてるわ」


永美里を誘拐したのは、蛇塚祐巳だったのか。

彼女は蛇塚コーポレーションの社員で社長令嬢でもあった。
吸収合併を進めたことへの怒りか?

かなり興奮気味の舞子さんを制し、なるべく冷静な口調で尋ねた。


「永美里はどこですか?」


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