6月のシンデレラ


「教えて欲しい?なら、条件があるの」

「…聞きましょう」


金が目的なのか。
永美里のためならいくらでも出してやる。


「青人さん。永美里との婚約を破棄し、私と結婚してくださる?」

「は……?」


なんだって……?


「私をあなたの妻にして。それなら永美里を解放する」

「何を言ってるんだ?」


あまりにも馬鹿げた話に、思わず語気を強めてしまった。


「条件を飲めないなら永美里がどうなってもいいのね?」

「……!」

「すぐに返事ができないなら、0時までは待ちますわ。…それまでに永美里が生きていられるかは、わからないけれど」

「永美里に何をしたっ!!」

「あなたがいいお返事をくださるなら何もしないわ。あ、警察に相談なんてダメよ?
永美里を無事で帰して欲しいなら、変なことはしないでね」


一方的にそう言うと電話は切れた。


「永美里……っ!!」


やり場のない気持ちが全部拳に込められる。

なんでこんなことになったんだ……!
なんで永美里がこんな目に……っ。


「…あの女、どこまで永美里の邪魔をすれば気が済むの!?」


頭を抱え、怒りに震える舞子さん。


「あの女、昔から永美里を酷く妬んでいたの。結婚が決まって、永美里への嫉妬を暴走させたのかも……あの女ならやりかねないわ」


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