6月のシンデレラ



……扉が開いた。


目の前には、息を切らして汗だくになった青人さんがいた。


「永美里!!」

「青人さん……っ!!」


青人さんは私を強く抱きしめ、そのまま抱っこして外に出してくれた。
自分が着ていたジャケットを私に掛けてくれる。


「永美里っ!!」

「永美里ちゃん!!」


舞ちゃんと巧さん……二人も来てくれたのね。


「今すぐ救急車呼ぶから!!」

「永美里、しっかりして。こんなに冷たくなって…」


青人さんはもう一度私を強く抱きしめる。
青人さんの温もりと優しい匂いに安心して、ボロボロと涙が溢れた。


「は、はるとさん……っ!!」

「もう大丈夫だよ……」


怖かった、もう会えなくなるかと思った……。

でも、迎えに来てくれた――。


「うっ、うっ……」


泣きじゃくる私の頭を撫で、ぎゅっと抱きしめてくれた青人さんの手は震えていた。


「無事でよかった……永美里に何かあったら、俺は……」


青人さん、泣いてるの……?

そんなに心配かけてしまったなんて……。

ごめんなさい、心配かけてごめんなさい。

私のこと、見つけてくれてありがとう――…



< 86 / 100 >

この作品をシェア

pagetop