6月のシンデレラ


「子どもが生まれたら、今度は3人で来たいわ」

「そうだね」


こうやって当たり前みたいに、未来の話ができることが嬉しくて、とっても幸せ。


「…できれば女の子がいいな」
「そうなの?」
「女の子なら跡取りにならなくて済むかもしれないし…」


どうやら青人さん、お父様との約束を気にされてるみたい。
私たちに子どもが生まれたら、その子が跡取りになるという約束。


「大丈夫よ。私と青人さんの子なら、きっと何でも乗り越えられるわ」

「…そうだといいな」


……あ、そういえば。


「ずっと渡しそびれちゃった。はい、これ」


私は鞄の中からプレゼントを取り出す。
あの事件でだいぶ包装紙がグチャグチャになってしまったけれど、多分中身は無事のはず。


「あの日ね、これをプレゼントしたくて出かけたの。この靴のお礼に」

「ありがとう…開けてもいい?」

「ええ」

「…!名刺入れだ」

「最近指名が増えたって言ってたから、名刺を渡す機会も増えると思って」

「ありがとう。大切に使うよ」


喜んでもらえてよかった。


「永美里、俺からも渡したいものがあるんだけど」

「え?」


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