6月のシンデレラ



いよいよ挙式が始まる。

チャペルのヴァージンロードを一緒に歩いてくれるのは、私の大好きなお姉ちゃん。
ベールダウンをしてくれるのも舞ちゃんだ。


「永美里…とっても綺麗よ」


舞ちゃんは既に瞳に大粒の涙を溜めていた。
その涙を私がハンカチで拭い、腕を組んでヴァージンロードを歩き出す。

舞ちゃんの片方の手には、私の両親の写真。
一緒に歩かせてくれて、本当に感謝してる。

私は今まで、ずっと舞ちゃんに助けられてきた。
舞ちゃんの家族にもとても良くしてもらった。

そんな舞ちゃんの手を離れ、最愛の人の手を取る。


「病める時も健やかなる時も、互いを敬い共に助け合い、命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

「誓います」

「誓います」


互いの左薬指に指輪を交換し、ベールアップをして…互いの視線が絡み合う。


「――――」


青人さんは私にだけ聞こえる声で囁いて、誓いのキスを交わした。

……10年前の自分に言いたい。

あの時の約束は叶うんだよって。
王子様はもっと素敵な、あなただけの旦那様になるんだよって教えてあげたい――。


「青人さん、迎えに来てくれてありがとう」


あの日の約束を、私の初恋を叶えてくれてありがとう。


「…こちらこそ、待っててくれてありがとう」


あなたに二度恋をして、本当によかった。


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