三年越しのあの日をもう一度
「今日、歴史の先生休みなんだって。自習かな」

「よっしゃ、ラッキー!自習の時間に漫画の続き読むかゲームできるじゃん!」

「雨宮くん、どんな漫画読んでるの?」

「俺のオススメはーーー」

翔馬が美雪と話していると、クラスメートたちがこちらを見てはヒソヒソと話している。どうして真面目な美雪が翔馬と話しているのか、クラスメートたちが言いたいことはすぐにわかる。

美雪は翔馬と違い、授業をいつでも真面目に受け、所属している美術部も一度も休むことなく、クラスメートたちの推薦で学級委員長もしており、生徒や先生からの信頼も厚い。そんな彼女がよく声をかけているのが翔馬のため、みんな「どうして?」と言いたいのだろう。

何故、こんな自分と一緒にいてくれるのか翔馬は何度も気になった。だが、その答えを美雪に訊くことはなかった。

(俺と一緒にいて楽しいって卯月が思ってそばにいてくれるんなら、答えがなくても充分だ)
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