三年越しのあの日をもう一度
「なぁ、今度どっか遊びに行かね?」

一年生の夏休みが始まる前、翔馬は勇気を振り絞って美雪に訊ねる。手や声が震えないよう、いつもの自分を心がけ、内心落ち着かないままだったが。

「えっ、行きたい!」

美雪は嬉しそうに言い、そこから二人でどこへ行くか図書室で計画を立て、夏休みに水族館や夏祭りを楽しんだ。楽しい時間は、まるで線香花火が消えるようにあっという間である。

夏が終わり、秋と冬が終わり、また春が訪れる。翔馬たちは二年生になった。

「雨宮くん、同じクラスだよ!」

「本当だ!やったな!」

手を取り合って二人は喜び、新しい教室へと入る。翔馬の恋に進展はなかったものの、美雪のおかげで楽しい毎日を送っていた。二年生の終わりまではーーー。

三月、もうすぐ訪れる春休みに生徒たちは楽しそうに予定を話している。家族と旅行に行く人、友達と遊びに行く人、短期留学をする人、生徒たちの話題の中心はいつも春休みのことだ。
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