三年越しのあの日をもう一度
これが、あの日交わした「約束」だったーーー……。



自転車で駅まで行った翔馬は、電車を乗り継いであの遊園地へと向かう。遊園地のチケットを買うと、ジェットコースターやメリーゴーランド、バイキングやお化け屋敷名前を通り過ぎ、真っ先に観覧車へと向かう。

観覧車の前に来ると、一人の女性が立っていた。観覧車に乗らず、ずっと空を見上げている。白いワンピースと長い黒髪が春風に揺れた。

「卯月美雪さん、ですか?」

緊張しながら翔馬は声をかける。振り返ったその顔は、あの日よりも大人っぽくなっているものの、美雪だった。

「雨宮翔馬、くん?」

美雪は驚いた顔をする。翔馬はどこか照れ臭そうに頷いた。

「髪、黒に戻したの?」

美雪に言われ、翔馬は頷く。大学受験を前に翔馬は黒髪に戻し、今は勉強を真面目に頑張っている。

「大学受験の時、ちょっとでも真面目に見えるようにって思ってな」

「雨宮くん、大学生なんだね!大学楽しい?」
< 9 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop