純愛トラップ  ー幼馴染の聖くんの裏の顔ー【シナリオ5話まで公開】

第三話 二人の本音

無言のまま、テレビの前のローテーブルに並んだサラダやパスタを手に取るふたり。
先ほどのことが気になった渚はチラっと聖を見る。
聖:「なに?」
渚:「なんでもない」
なかなか素直になれない自分に、渚はため息が漏れる。
渚:(俺はって言いかけたよね、さっき)
何も気にしてなさそうに、テレビを見つつサラダを食べる聖を見て、気にしても仕方ないと渚もピザを口に運ぶ。
渚;「聖、サラダだけ?」
聖;「ん? あー、あとでプロテイン飲むわ」
渚;「プロテイン?!」
驚いて聖を見る渚。そんな渚に苦笑しつつ答える聖。
聖:「一応、気を使ってる。撮影前は小麦や炭水化物あまり食べないように」
さきほど焦がした肉を思い出して、申し訳ない気持ちになる渚。
渚;「お肉焦がしてごめん。そして、昔もごめん」
勢いに任せて頭を下げる渚。
聖:「どういう意味?」
渚に視線を向けないまま、問いかける聖。
渚;「やっぱり怒ってるよね、昔のこと」
渚:(いじめてるつもりなんてなかった。ただ、みんなに可愛がられる聖がうらやましかっただけ。でも、そんなのやつあたりだよね)
シュンとして俯く渚。
聖:「怒ってるな」
鋭く言われたその言葉に、ショックを受ける渚。
聖:「じゃあ償えよ」
渚:「どうやって?」
そこで聖は渚の瞳を見つめる。
聖:「俺、結構今マジなんだよね、仕事」
渚:「うん」
聖:「でも、事務所がいろいろうるさいんだわ」
渚:「へ?」
渚意味が解らない表情
聖:「渚が代わりになってよ」
渚:(まさか遊びの女の子の代わり!?)
渚:「そんなの無理! 無理だよ……私経験ないし」
聖:「お前何考えてるの?」
唖然とする聖に、青くなったり赤くなったりする渚。
そのあと、ソファにうつぶせで横たわっている聖の背中をマッサージする渚。
渚;「ねえ、プロ頼んだらいいんじゃない?」
聖:「だからうるさいっていっただろ? たくさんの人がくると。それに……」
振り返って渚を見る聖。
聖:「俺、こうして誰かがいないと病むんだよね
渚:「病むっていみわかんないんだけど」
まっすぐに見つめられてドキドキしてしまう渚。でも、その顔はよくみると疲れた顔に見える。
渚:(学校も仕事も一人暮らしも、確かに大変だよね……)
マッサージをやめた渚を見て、起き上がってソファに座る聖。
聖;「少し貸して」
渚;「なにを?」
問いかけている途中で、ごろっと渚をソファに座らせると膝枕で寝転がる聖。
聖:「昔から俺が寂しがりなの知ってるだろ? 昔のことが悪いと思うなら、俺をひとりにするな」
渚:「ツっ」
聖:「とりあえず再来月に、オーディションがある。それまでは一緒にいて」
いきなりすがるような表情の聖に、渚は困惑してしまう。
そっと寝ころびながら渚の頬に手を伸ばす聖。
渚;(怒ってるって、私のこと嫌いなんでしょ? それなのにそばに置くって意味が解らないよ)
でも、触れられたことが嬉しい自分にも気づく。
渚:「それで許してくれるならいいよ」
フイっと視線を外しつつ言うと、聖はにやりと笑って渚の後頭部を引き寄せてキス。
聖:「さっき渚が思ったことも含むからよろしく。俺も健全な男子高校生なんで」
渚:(やっぱりはやまった!?)
翌週の学校の廊下 移動教室へ向かっている渚たち。
梨香:「あーなんか、彼氏ほしい~」
渚;「梨香、先週の合コンどうだたの?」
梨香;「まったくだめ」
男友達:「梨香、お前は彼氏欲しかったの?」
梨香;「もちろん」
そんなふたりを笑顔で見ている渚。
正也:「渚は? お前男に興味なさそうじゃん」
渚:「確かになかったんだよね……」
渚:(なかったというより、聖と一緒にいるようになって、小さい頃の自分と聖のことを結構引きづってたんだな……)
しみじみといい長いため息をつく渚。
正也:「渚、それってどういう意味!? まさか好きな男でもできたとか?」
渚に好意がある正也が焦ったように声をかける。
そんなふたりを生ぬるい感じで見つめる梨香達。
梨香:「確かに、恋愛ごとに疎いもんね、渚。チューとかしたいと思わないの?」
そのセリフに聖とのキスを思い出して、真っ赤になって狼狽する渚。
梨香:「渚なに? その態度、あやしー」
その先に廊下に立っている聖と、親友の本宮誉の姿があった。
その二人を女の子たちが見つめている。
梨香;「王子と殿。目の保養」
絵になるふたりを渚も見つめる。
男友達:「いいよな、王子とか、いつもモデルや女優みれるんだよな」
そのセリフに、ちくりとした胸の痛みを感じる渚。
渚:(こんな気持ちになりたくないから、距離をとってきたのに……)
渚;(私の聖は釣り合わないーーー。そんなことずっとわかってる)
そこでハッと我に返る渚。
渚;(これじゃあ好きみたいじゃん)
ブンブンとひとりで首を振っていると渚を、梨香が不思議そうに見る。
梨香;「どうしたの、渚」
そんな話をしているとき、聖の隣を通り過ぎる。
視線も合わせない二人だったが、何かが手に握らされたことに気づく。
それをチラリとると、メモだった。勢いよく振り返る渚。
いっさい、こっちを見ていない聖。女の子と楽しそうに話してる。
渚;(なんなのよ……)
振り回されている自分に嫌気がさす渚。
場面は立っている聖と誉
誉:「青春じゃん」
聖:「はあ?」
誉:「「キミのために俺は変わったんだ」とか言ってみたら?」
聖:「おまえ、いい加減にしろよ」
いつもにこやかにしている聖が鋭く睨みつける。
誉:「彼女、お前のその裏の顔知ってるのか? バレたらさらに逃げられるぞ」
聖;(もうそんなのとっくにだしちまったよ。もっとカッコつけて落としにいくつもりだったのに……)
髪をかきあげてため息をつくアンニュイな聖を見て、歓声がまわりから上がる。
それをみて、無意識にファンサでにっこりと笑う聖。
誉:「それぐらいすれば、すぐに打ち解けられるだろ。渚ちゃんと」
聖:「名前出すな! 万が一聞かれてあいつに何かあったらどうするんだ」
そんな聖を見て、誉はため息を付く。
誉:「お前って本当に……」
生ぬるい表情で聖をみる誉。
聖;「うるさい」
小さい頃回想。 近所の公園
小さい渚、夏。ショートカット、Tシャツハーフパンツ姿。聖。長めの方までの髪型。同じく白いブラウスにハーフパンツ姿。
渚:「聖をいじめるやつは、許さない!」
聖:「渚ちゃん、やめよう」
いかにもふたりより大きな近所の子の子たちが、聖に詰め寄る
近所の子:「なんだよ、お前男のくせに、いつも女みたいな服きて、弱っちくて。そしてその男女に守られてるとか」
渚:「誰が男女だ!」
近所の子:「本当に、お前男かよ」
その子たちに立ち向かっていく渚。どんと押されて転んでしりもちをつく渚。
聖:「渚ちゃん!」
聖:(僕のせいで……。僕が弱いから)
渚:「大丈夫! 聖は大丈夫? 仕方がないから私がずっと守ってあげる」
聖(僕は、僕は……仕方なく守って欲しくなんかない)
聖;「渚ちゃんに守ってくれなんて頼んでない! おせっかいなんだよ!」
そのまま走り去る聖。そしてそのまま親と一緒に海外へ。
回想終了
誉:「どうするんだよ? なんだかんだ女の子の扱いは慣れたから、今は昔みたいなヘマはしてないんだろ?」
聖:「やめろよ。その言い方」
誉:「ああ、悪い。お前、めちゃくちゃ遊んでるって書かれてて実は……」
誉をヘッドロックをして話すのをやめさせる聖。そんなふたりのじゃれ合いをうっとりして見つめる女子。
そして、誉が聖の耳元で小声で話す。
聖:「あの、モデルの結衣に迫られても、やらなかったんだろ? それぐらい大事な子なら、手に入れろよ」
誉のその言葉に、聖は校聖;「もちろんだ」
聖;(絶対に逃がさない!)
3話終了

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