純愛トラップ  ー幼馴染の聖くんの裏の顔ー【シナリオ5話まで公開】
第五話 恋心の行方

アイ:「聖、ねえ、今度の撮影の相手私になりそうなの」
聖:「そうか、それはまたその日に聞くよ」
ニコッと笑って彼女に応える聖。優しい物言いに自分に対する態度と違うことにショックを受ける渚。
渚:(やっぱりキレイな人がいいんだよね……)
楽しそうに仕事の話をする二人に、たまらなくなってくる渚。
そんな渚にアイは聖に腕を絡ませたまま、勝ち誇ったように渚をみる。
聖;「あっ、じゃあ、私はここで」
アイ:「えー、なんかごめんね~」
全く悪びれていない様子のアイ。
聖;「渚?」
アイ;「聖、事務所の車待たせてるから、食事に行こう。ね」
渚はふたりに視線を向けずその場を足早に離れる。
渚;(モテモテじゃない。私なんかにかまわなくていいのに)
小さく息を吐いて地下鉄の駅へと入ろうとした時、後ろからグイっと引き寄せられる。
聖;「勝手に決めてんなよ」
息を切らしえている聖に、泣きそうな表情で聖を見上げる渚。
渚;「だって、邪魔じゃん、私」
聖:「バカ、邪魔なのはあっちだろ。まったく」
文句を言う聖は、心底うんざりした表情をしている。
渚;「でも、嫌そうじゃなかったじゃない」
聖;「あれは仕事用だろ。邪険にすれば仕事に支障がでる。あれでも一応先輩だし、売れっ子モデルだからな」
渚;「私にはいつも冷たいじゃない」
聖;「お前もあんな風に言われたい?」
渚;「そうじゃないけど……」
地下鉄の入り口の隅で、話している二人を階段を下りていく人たちがチラチラと見ている。
パーカーのフードをかぶっているとはいえ、身長も高くスタイルのいい聖は目立っている。
聖;「ここはまずいな」
小さく呟くと、渚の手を取りタクシーを止めて乗り込む。

聖のマンション
聖;「アイのせいで夕飯も買ってこれなかったな……。またウーバーでも頼むか……」
ブツブツ言っている聖に、本当に彼女とはなんともなかったと安堵する渚。
渚;「私だって練習したしょうがやき作ろうって思ってたんだよ」
聖:「練習した?」
つい零れた言葉に口元を押さえる渚に、驚いた後、聖は満面の笑みを浮かべた。
渚(あっ、昔のママの笑顔だ)
そう思った時、いきなり抱きしめられる。
渚;「ちょっと聖?!」
聖:「俺、材料買ってくるから作って」
渚「私が行ってくるよ」
ドキドキしつつ、その腕から逃れようとするが、ギュウギュウと抱きしめられる。
その後、リビングへ行った二人。渚は買ってくるものをメモして聖に渡す。
渚;(せっかく買ってくれたから、汚したくないな)
冷蔵庫の中を確認しつつ、自分の服を見つめる。
そんな渚のところに、紙袋を持って戻ってくる聖。
聖:「これ、撮影のときもらった部屋着。ちょうどよさそうだからこれに着替えてろ」
かわいらしいピンクの部屋着を渡される。
そこには、もこもこの今流行のルームウェア
渚;(かわいい!)
渚;「ありがとう。着替えてくる」
渚は着替えるために洗面所へ。聖は家を出ていく。
渚;「おかえり」
聖が帰ってくると、渚が部屋着に着替えてキッチンにいた。
渚;「この間買った残りで、サラダとかは作ってみたんだけど」
皿には色とりどりのキャベツやトマトなどがのったサラダ、そして鍋には味噌汁。
渚;「後はお肉を焼いて、お味噌汁に味噌を入れれば完成。味噌わかった?」
何も言わず立っている聖に、きょとんとする渚。

聖「サイズぴったりだったな」
渚;(このせい!? 似合ってない?)
不安になっている渚。
聖;(やばいぐらいにカワイイ)
手が出そうになるのを耐える聖。
渚;「聖?」
様子のおかしい聖に、声をかける渚。
聖;「あ、あー。これでいい?」
味噌を取り出して渡す聖。
渚;「うん、大丈夫」
そのままこの間とは違う手つきで、料理をする渚をジッと見ている聖。
聖:「けいこさんに教わった?」
渚:「うん、この間の話をして、とりあえずレパートリーはまだまだ少ないけど」
渚;(こんなこと言ったらまた作るって言ってるみたいじゃん)
渚;(迷惑……じゃない?)
聖;「楽しみにしてる」
そこで渚が時計を見る。21時38分
渚「電車の時間もあるし、聖ひとりで食べられる? すっかり作るのに時間がかかちゃった」
聖;「さっきけいこさんに電話しといた。今日は泊っていいって」
渚;「ウソでしょう?!」
聖;「ホント」
青くなったり赤くなったりしている渚に、聖も内心焦っている。
もっと一緒にいたいと思って、ダメもとで自分の体調がわるいからと連絡をしていたことを回想する聖。
聖:「いいじゃん、言っただろ渚の前だと素でいられんだよ」
ドカッとソファに座る聖。
聖「さっきも見ただろ? それに学校も。イメージがある仕事だから、いつも作ってるから俺」
渚:(それはそうなのかもしれない……。過去を知らない人からしたら聖は王子様だもんね……)
聖;(いまだ)
聖:「それに、ひとりは寂しい。頼む渚」
聖のその頼む様子に、母性本能的な昔の聖を守っていたころのような気がしてしまう渚。
渚・(昔からこのお願いに弱いんだよね。私……)
渚;「わかった」

先にシャワーも終え、聖のベッドに座っている渚。
渚:(こんな広い家だからベッドふたつあると思うじゃない!)
回想
聖;「ひとり暮らしだぞ? ベッドはひとつ。キングサイズだから寝れるだろ?」
聖「おまえ、そんなに寝相悪いのか?」
呆れられたように言われ、売り言葉に買い言葉になってしまう渚。
渚;「そんなわけないじゃない!」
渚;(どいしよう。これからどうなるの? 寝れる?)
そこに扉があいて、上半身裸、タオルを首からかけて濡れた髪の聖が入ってくる。
色気が駄々洩れの、聖に渚は限界まで動揺して……。

第五話 終了
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