王子様の溺愛は、とことん甘い×その甘さ、毒牙につき【エイプリルフールSS】
そ、そこまで言う…?
大袈裟すぎる気がする…けど、目が本気だ。
放っておいたら倒れてしまうんじゃないかと思うほど、その顔は見るのも痛々しい。
「わ…かりましたから。とりあえず、服引っ張らないでもらえます?」
このままだと、宮村さんの制服が破けそうだ。
「あぁ…ごめん。芙羽梨の制服がダメになったら大変だしね。まぁ、ダメになっても僕が書き直してあげるけど」
「………」
宮村さんが可哀想になってきた。
顔はとってもいいのに、中身がとんでもなく残念な気がする。
溺愛してる…というより、なんかもっと重いんだよね。
「僕は香月詩音。君は?」
「えっ…?あ、えっと…」
それは、宮村さんじゃなくて私の名前だよね。
「伊咲ももです…けど」
一瞬悩んでからそう答えた。
「伊咲さん、なにか心当たりがあったらなんでもいいから話して欲しい。一刻も早く芙羽梨を摂取しないと、僕の精神が安定しないんだ」
「………」
やはり、とことん残念な人だと思わずにはいられなかった。