王子様の溺愛は、とことん甘い×その甘さ、毒牙につき【エイプリルフールSS】

「はい。秋本さん…秋本さんがよかったら、伊咲さんに進めた小説を見せてもらってもいいですか?」



秋本さんに向き直ってそう言うと、目をパチパチさせてから指を立てた。



「もっちろん!」



よかった…これで元に戻れるかも!



少し安心していたら、秋本さんが持っていたカバンの中をガサゴソと何かを探し始めた。



「はい、これ!今すぐ読んじゃいな!」



そう言って手渡されたのは、1冊の文庫本。



私が読んだ携帯小説の形とほぼ一緒で。



「……え?」



「え?じゃないよ!ほらほら早く!」



秋本さんは驚く私の手に小説を握らせて、その勢いのまま表紙を開いたのでした。
< 20 / 29 >

この作品をシェア

pagetop