王子様の溺愛は、とことん甘い×その甘さ、毒牙につき【エイプリルフールSS】
「はい。秋本さん…秋本さんがよかったら、伊咲さんに進めた小説を見せてもらってもいいですか?」
秋本さんに向き直ってそう言うと、目をパチパチさせてから指を立てた。
「もっちろん!」
よかった…これで元に戻れるかも!
少し安心していたら、秋本さんが持っていたカバンの中をガサゴソと何かを探し始めた。
「はい、これ!今すぐ読んじゃいな!」
そう言って手渡されたのは、1冊の文庫本。
私が読んだ携帯小説の形とほぼ一緒で。
「……え?」
「え?じゃないよ!ほらほら早く!」
秋本さんは驚く私の手に小説を握らせて、その勢いのまま表紙を開いたのでした。