王子様の溺愛は、とことん甘い×その甘さ、毒牙につき【エイプリルフールSS】
日常へ
芙羽梨 side
──…あ、れ?
ここ……は……。
一瞬だけ意識が遠のいた感覚がしたけど…。
「っ芙羽梨…!!」
「わっ…!?あ、あの…っ…って、詩音先輩…?」
ぎゅうっと抱きしめてきたのは、紛れもなく詩音先輩で。
「芙羽梨…!?芙羽梨なの…!?」
涙目の彩凜ちゃんが、目を見開いて私の名前を呼んでいた。
「っ…よかった、急に芙羽梨の体の力が抜けて倒れたから…もう、芙羽梨に会えないかと思った…」
「っ、詩音先輩…」
詩音先輩の震えた声が耳元で聞こえる。
詩音先輩と彩凜ちゃんの話を聞くと、私の体に入っていた伊咲さんが本を読んですぐに倒れ込んだらしい。
何度揺すっても一向に起きなくて、詩音先輩が救急車を呼ぼうとしたときに起きたんだとか。
きゅ、救急車呼ばれる前に起きれてよかった…。