王子様の溺愛は、とことん甘い×その甘さ、毒牙につき【エイプリルフールSS】
かけられた声
芙羽梨 side
詩音先輩、彩凜ちゃん、助けて…。
「私のクラス、どこ…?」
迷子です。
現在地は、私が入れ替わった伊咲ももさんの通う高校。
なんとかここまでやり過ごして来れたものの、伊咲さんの教室がある場所がわからないという緊急事態に陥った。
学生証にクラスと出席番号は書いてあるけど、教室の場所はどうしたってわからない。
高校に来るまでは、悪いと思いながらも伊咲さんのスマホを使って来た。
これなら何とかなるんじゃないかな?と思っていた矢先、こうなってしまった。
人に聞く…?でも、自分の教室の場所を知らない生徒なんているわけないよね…。
うぅ…やっぱり来なければ良かったかも…。
「困ったなぁ…」
廊下の隅っこで途方に暮れていたとき。
「もーも、おはよ」
「ひゃあっ…!?」
「……ひゃあ?」
後ろから抑揚のない声と共に抱きつかれて、思わず声を上げる。