旧知の名家ホテル王は懐妊した斜陽旅館令嬢を人生を賭けて愛し尽くす
 「ありがとう。凛子がそう言ってくれて、この先頑張れそうだ。」
 麟斗君が、私の頭を子供を慰めるように優しく撫でる。
 私は、彼の優しさに甘えて抱きしめてもらった。
 「この時間、俺は好きだな。」
 急に落胆してしまった、気まぐれなお嬢様を赦してくれる。
 やはり大人な彼は、素敵だなと思った。
 何時までもこのまま、麟斗君に甘えじゃれていたいな………ーーー。
 子猫みたいな淡い気持ちは、車の目的地到着と共に崩れ去った。
< 11 / 25 >

この作品をシェア

pagetop