旧知の名家ホテル王は懐妊した斜陽旅館令嬢を人生を賭けて愛し尽くす
 ロールスロイスの扉が御付きの者に開かれて、私は社内に押し込められていく。
 「よし、予約済みのレストランまで行ってくれ。」
 「かしこまりました、旦那様。」
 このまま、順調に出発しそう。
 私と男前は社内で隣同士で密着してるけれど、男前の隣に居て、安心するような。
 …なんでかな?どこか懐かしい感じがするのは。
 私が、謎の男前の顔を見つめていると、父様の大声がした。
 「麟斗様!娘をどうか、宜しく頼みます!!」
 深々と礼をしながら、父様は私達を乗せた車を見送っていた。
 いや、待ってよ!?今さっき「りんと」って言った?

 …「りんと」って、あの「麟斗くん」?
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