神山銀二の受難
はんぶんこ 神山銀二
チビは遠慮なく俺の弁当を半分平らげた。
腹がいっぱいになったのか、すぐ座布団の上に横になって寝たようだった。
『はぁ』
思わずため息が出た。
弁当半分食われた………。
ってかそれもあるけど、
……ガラにもねぇ。
四十路に手が届く三十代独身、実はバツイチだ。
嫁と別れたのは五年前。
嫁の浮気が原因だった。
もっとも、嫁の両親は離婚の原因は俺が子供を欲しがらなかったことにあると思っているらしい。
まぁいいけど。
こんな生活じゃ子作りする暇ないし、俺も特に子供を望まなかった。
だから、嫁が浮気したのも仕方ない。
その嫁は当時の浮気相手と再婚して、その相手の子供を産んで、幸せに暮らしているらしい。
メデタシメデタシ。
それで俺は、独りヤモメ。
……そんな俺がなぁ。
どうしてあの時チビを拾ったんだろう?
ヤキが回ったかな……
取り敢えず、明日職場に連れて行けば交通課の婦警が面倒見てくれるだろう。
明日も早い。
寝ちまうか。
俺は六畳一間の明かりを消して久しぶりに自分の布団で眠りについた。