日替わりケーキとおしゃべりタイム
それにしても…

「井上くんって、お金持ちなの?」

部屋にあるものはすごく高そうなものばかりで、今持ってるお皿だって高級ブランドのもの。それに、家まで来てくれるかかりつけにお医者さんまでいるなんて…。

「えっ?…ああ…まあ。つーか、飯食っていけよ」

「そ、そんな。そこまで甘えられないよ」

散々迷惑かけておいて、ご飯までご馳走になるなんて、図々しいにもほどがあると思うし。

「…せっかく、高級和牛貰ったのあったから、すき焼きしようと思ったのにな。1人だと多すぎるんだよな」

高級…和牛?

多すぎる…?

グーッというお腹の音が、広すぎる部屋の隅々まで響き渡る。

恥ずかしくて、顔の体温が上がる中、井上くんが、

「くくくっ」

と笑っている。

なんで、このタイミングで、私の体は正直なのよ…。

「食ってけよ。男1人ですき焼きって、結構寂しいし?」

笑いすぎて、目頭を拭いながら、井上くんは私に言った。

私は、素直に頷き、イチゴを一粒口の中へと放り込んだ。

じわっと広がる、イチゴの甘酸っぱさに、気持ちが少しずつ落ち着いていく。





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