日替わりケーキとおしゃべりタイム
「おかえり、飛鳥」

そう言って、ゆっくりと立ち上がり、近づいてくると、お姉ちゃんは、私と井上くんを交互に見た。

「お姉ちゃんも、おかえりなさい」

少し緊張しながらも、久々に会うお姉ちゃんに挨拶をする。

いつ見ても、私の5つ上とは思えないほど、若々しくて、スタイル抜群で、美人さん。

「ただいま。あなたが、飛鳥の彼氏ね」

「はい。初めまして。井上翼といいます」

「姉の優璃よ。ふーん、飛鳥、あなたやっぱりイケメン好きね」

くすっと笑って私に視線を移すお姉ちゃん。

イケメン好き?

急になんでそんなこと言い出すんだろう…。

なんと答えるのが、穏便に済ませられるのか悩んでいると、

「それ、俺、イケメン認定されたってことで喜んでいいですか?」

ノリの良い言い方で、明るく冗談っぽく言った井上くん。

「ふふっ…まあ、そうね」

お姉ちゃんは、長い綺麗な髪をふわっとかき分けて井上くんに微笑む。

「まあ、幼馴染の円堂さんがイケメンの基準だったら、足元にも及ばないけど」

まさか、井上くんが、ここで直樹の名前を出すなんて思ってもいなくて、井上くんとお姉ちゃんの顔を交互に見る。

「なーんだ、直樹とはもう知り合いだったか」

お姉ちゃんは、急に真顔になって、ソファーにどかっと深く座った。

「優璃、初対面なんだから、あなたもう少し大人しくしてなさい」

キッチンから、お母さんの呆れたような口調が響く。

< 103 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop