日替わりケーキとおしゃべりタイム

煙草の匂い

飛鳥を家まで送り届けて、自分の家に戻る。

ベランダに出て、椅子に腰掛けてタバコを咥えた。カチッとライターに火をつけて、滅多に吸わないタバコに火をつけた。

俺は、飛鳥が美味しいものを食べたときに見せる表情が、たまらなく好きだ。

だから、今日バームクーヘンを食べた時の飛鳥のちょっと固さの残った表情がものすごく引っかかった。

そして、その理由のひとつは、飛鳥のお姉さんにあるんじゃないかってふと思えた。

飛鳥を見る優璃さんの視線が、温かいものではなかったから。

敵意というか、嫉妬心というのか…なんとも言い表せない視線を感じたのは確かだった。

優璃さんが、一体何を嫉妬しているのかはわからないけど…。

というか、まあ女性の容姿を比べるのはあまり良くないけれど、優璃さんはかなり容姿が優れていると思う。きっと、モデルをやっているといったら、それを信じ込んでしまうほど。

自信に満ち溢れているのだって伝わってきたし、その自信を飛鳥に少し分けてもらいたいくらいだ。

まあ、お姉さんといい、幼馴染の円堂さんといい、飛鳥の周りには見た目がすごく整っている人がいるから、飛鳥は自分のことに自信が無くなってしまったんだろうな…。


< 111 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop