日替わりケーキとおしゃべりタイム
「梅田、社長からお呼び出しだ」

係長が、私にしか聞こえない小さな声でそう声をかける。

社長から…直々に?
嫌な予感しかしない…。

重い足取りで、一度も行ったことのない社長室へと向かう。

途中で、井上くんのいた部署の前を通ったけれど、井上くんのデスクは綺麗に片付けられていて、もう井上くんの姿はなくなっていた。

井上くん、今どんな気持ちなんだろう。急に副社長に就任したのだって、きっと業績悪化が原因。









トントン

「失礼致します」

緊張で口から心臓が出そうな気分で社長室に入る。

突き当たりの大きな窓の手前に、社長の大きな机があり、そこに真剣な表情で座っている社長と目があった。

「は、初めまして。梅田飛鳥と申します」

少し威圧的なオーラの出ている社長を前に、足が震えそうになる。

「忙しいのに申し訳ない。単刀直入に言わせてもらうよ」

社長の言葉に胸が大きく鼓動する。







「息子と別れてくれ」






社長の言葉が胸に突き刺さり、苦しくなっていく。

「…これは、我が社を立て直すためにも必要なことなんだ」

立て直すため…。

何もいえない私に、社長は淡々と話を続けていく。


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