日替わりケーキとおしゃべりタイム
「じゃあ、俺からも。さっき作ったばかりだから、明日の午前中まで美味しく食べられるよ」

ゼリーの箱の上には、食欲をそそる匂いのする紙袋が置かれる。

「片手でも食べられる、栄養満点のサンドイッチ」

直樹は、いつもの天使スマイルでそう言うと、私の頭を優しく撫でる。

「飛鳥の顔見たら、きっと安心すると思うよ?」

「…うん」

二人の気遣いに、ただ待つことしかしなかった自分自身の背中を押される。

私は、井上くんのことが気がかりだったけれど、社長に言われた言葉が引っかかり、罪悪感や劣等感で中々足を運ぶことが出来なかった。

でも、こうやって、優しく背中を押してくれる二人の気持ちを、ちゃんと井上くんに伝えたいと思えた。

「飛鳥もゆっくり休むんだよ?」

「うん…。2人とも、ありがとう」

お礼を言って、立ち上がる。一瞬だけ、体がフラついたけど、カバンを手に取るふりをして、どうにか誤魔化す。

うん、バレなくてよかった…。

ここ数日、立ち上がる時のフラつきが時々あった。

今日はゆっくり寝よう…。明日は少し早めに出社して、井上くんのところに寄ろうかな。

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