日替わりケーキとおしゃべりタイム
「視線は感じてたけど、実際はそんなに告白されたことないし、モテるかモテないかと言ったら、モテないと思う」

それは、イケメンすぎて、近寄れなかっただけなんじゃ…。

と思ったけれど、あまりにも美味しそうに食べているから、この話はこれでおしまいにした。

「…井上くんはさ、飛鳥のどこに惹かれたの?」

「…えっ」

まさか、面と向かってそんなこと聞かれるとは思ってもいなくて、動揺が表に出る。

そんな俺を見てクスッと笑うと、

「俺が聞くのも変な話か」

と、一言。

そんな円堂くんに、思わず

〝円堂くんこそ、実際、飛鳥に恋愛感情はどのくらいあるのか〟

と質問したくなってしまった。でも、そんな事あえて聞いたとしても、俺自身が後から後悔するのが目に見えたから、言葉を飲み込む。

なのに…

「一昨日の、あの言葉は、結構本気だから…ね」

追い打ちをかけるように、ものすごく優しい表情でそんなことを言い放った円堂くんに、俺は、天使の仮面を被った小悪魔だと心の底から思ってしまった。

「…円堂くんって、本当に何者?」

「ただの見習い料理人だって」

いつのまにか、最後の一口になっていたテリヤキバーガーを口に入れて、丁寧に包み紙を折りたたむ円堂くん。

確かに、実際はそうなのかもしれないけど、でも実は、ビジネスマンとしてめちゃくちゃ優秀な人なんだろうなと思わせる雰囲気が出てる。



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