日替わりケーキとおしゃべりタイム

朝食にイングリッシュマフィン

こんな時間にインターホンが鳴ることなんて滅多にないから、私は驚きながらモニターで確認をする。

えっ…

訪れた人物にさらに驚き、慌てて玄関を開ける。

「やっほー飛鳥、遅くに悪いわねー」

テンション高めで、軽く手を挙げた人物は、正真正銘、私のお姉ちゃんだった。

「ど、どうしたの?」

真っ赤なスーツケースごと玄関へと入れたお姉ちゃんに戸惑いながらも、扉を閉めて鍵をかける。

慌てて来客用のスリッパを出すと、ヒールを脱いだお姉ちゃんは、頭につけていたサングラスをとりながらリビングへと入っていった。

「あら、彼氏さんいらしてたのね。ごめんなさいね、急に来ちゃって」

お姉ちゃんを見た井上くんも、戸惑いを隠せない様子で、私とお姉ちゃんを交互に見た後、慌てて挨拶をする。

「土日泊めてちょうだい。そしたら、すぐに帰るから」

「いいけど…旦那さんは?」

「向こうに置いてきた。家出よ家出」

家…出?イギリスから…?

「…ご実家の方には顔出さないんですか?」

遠慮気味に井上くんがお姉ちゃんに尋ねると、サングラスをテーブルに置いて、長い髪の毛を手でかき上げた。

「出さないわ。家出なんて知られたら、何言われるか」

そう言い切ると、何故か遠慮もせず、冷蔵庫の扉を開けたお姉ちゃん。





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