日替わりケーキとおしゃべりタイム
「そういえば…話途中だったけど、優璃さん来る前に何を言いかけてた?」

あっ…そうだった。

「えっと…体調のことなんだけど」

そこまで言うと、井上くんは、歩みを止めて私の方を心配そうに見る。

「…どこか悪いの?」

「ううん、病気とかじゃなくって……その…妊娠したの…」

「えっ…?」

私の言葉に、井上くんの思考が停止したことが私にも伝わってきた。

「…この前病院に行ったから…間違いないんだけど…」

そう付け加えると、私の体は、あっという間に井上くんに抱きしめられた。

「なんだよ、めちゃくちゃ…いい話じゃん…」

井上くんの素直な言葉が、私の不安を溶かしていき、安心感が生まれてくる。

「産んでもいい…?」

「うん。産んでほしい」

私を抱きしめる井上くんの腕に力が入る。

よかった…。

「…飛鳥、今日俺のとこ泊まったら?」

「えっ…?」

「優璃さんと久々に二人きりで話したいって言うなら無理に連れてかないけど…気を遣うなら、俺のとこ来ればいいのにって思って…」

やっぱり、さっきのやりとりを見て、あまり雰囲気が良くないことは察したんだ…。

でも…



< 156 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop