日替わりケーキとおしゃべりタイム
「遠くから来たのに、私がいなくなったら、お姉ちゃんもいい気はしないと思うから…。それに、家出してきたってことは…寂しいのかも」

私の言葉に、井上くんは眉毛を下げたままふわっと微笑む。

「そうだよな。…出過ぎたこと言ってごめんな」

「ううん。でも、井上くんがいるからそう思えるの」

私のことを気にかけて、そう言う提案をしてくれたから、前向きでいられるんだと思う。

「行こうか」

そっと手を繋いで、井上くん私はコンビニへと向かった。











「ただいま」

「おかえりー。あら、いっぱい買ってきたのね」

井上くんが持っているコンビニの袋を見て、お姉ちゃんはちょっと驚くと、すぐに嬉しそうに笑った。

「俺、そろそろ帰るんで。明日は、飛鳥借りていいですか?」

「どうぞどうぞ。私はテキトーにショッピングに行くから」

テーブルの上の袋から、日本酒を取り出しながら、お姉ちゃんはそう答えて、小さなグラスを戸棚に取りに行った。

「飛鳥も飲む?」

「ううん。今日は遠慮しておく」

「あら、そう?お酒好きだったわよね?…まさか妊娠でもしたの?」

えっ…

「う、ううん。そういうわけじゃないけど」

慌ててそう答えて、思わず井上くんを見る。



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