日替わりケーキとおしゃべりタイム

さっぱりレモネード

「ほら、だから言ったじゃん。飛鳥の頑張り認めてる人もいるって」

昨日の夜、結局頭の中がごちゃごちゃで、とりあえず今日は休日出勤をして、そのまま直樹の元へとやってきた私。

昨日の出来事を直樹に話すと、自分の考えが当たっていた事への喜びなのか、ものすごく明るい笑顔でそう言った。

「だ、だけど…まさかそれが恋愛のことだなんて…」

「いや、ほら、普段の仕事してる様子も知ってるんだろ?その人。仕事の頑張りも認めてるよ」

生クリームを手際よくホイップしながら、直樹はさらっとそう言うと、硬さを確認する。

「…でも、ポンコツなところしか見てないと思う」

めちゃくちゃ仕事の早い井上くんから見たら、私なんてダメダメ人間にしか見えないと思うけど…

「…どこが好きなんだろう…」

素朴な疑問だった。

天と地ほどの差のある私のどこに魅力があったのか、謎でしかない。

「そこを直接聞けばいいんじゃない?答え出す前に」

「そうなんだけど…」

ズバッと的を得た答えを言う直樹に言葉が詰まる。

「あー…女子って、答えが出ないこの時間にドキドキしたりして楽しむんだっけ?」

生クリームを味見して、真面目な顔で尋ねる直樹に、私は苦笑いで首を傾げて、明言を避ける。

そうなのかもしれないけど、認めるのもなんかな…と思ったから。

直樹はクスッと笑って、スプーンでふわふわの生クリームをすくって私の口へ運んだ。


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