日替わりケーキとおしゃべりタイム
「匂いで気持ち悪くなったりはする?」

「ううん。それはないから大丈夫。量を食べられなくなった感じかな」

つわりのこと、気にしてくれてるんだ。今まで一人で耐えてたから、こうやって知ってもらえてると少し気持ちが楽になる…。

エメラルドグリーンの木製の扉を開けて中へと入ると、そこはオレンジ色の灯りが広がる、優しい雰囲気の店内だった。

「いらっしゃいませ。あら、草加部くん」

井上くんのことを草加部と呼んだのは、綺麗な40代くらいの優しそうな女性だった。すぐに視線が私に移り、ニコッと微笑んだ女性に、私は慌ててお辞儀をする。

「可愛らしい子連れてきてくれたのね」

「うん。俺の奥さんになる人」

〝奥さん〟

聞きなれない紹介の仕方に、顔が一気に熱を帯びる。

「あら、それは、おめでとう」

「飛鳥、この人、俺の高校の時の担任の先生」

えっ…先生?

「は、初めまして。梅田飛鳥といいます」

「初めまして。近藤柊子です。草加部くんは、高2と高3の時に担任をしたの。ふふっ。すっかりおとなしくなって、安心したわ」

「おとなしく…?」



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