日替わりケーキとおしゃべりタイム
「レモン?」

レモンの風味が口の中に広がり、後味さっぱりの生クリームに、ほっぺたが落ちそうになる。

「正解」

「おいしい」

直樹は嬉しそうに笑うと、冷ましていた紅茶のシフォンケーキを切り分けてレモン風味の生クリームを添えた。

「今日は、暑かったから、さっぱりドリンク付き」

レモンの輪切りとミントの葉の添えられている飲み物もケーキの隣に置かれて、私の前に差し出された。

「とってもおしゃれ」

少し色づいたレモネードが、氷と混ざり合い、幻想的な見た目となっていて、写真を撮りたくなる印象。

「いただきます」

「どうぞ」

早速、グラスを手に取って、レモネードを一口飲む。

レモンの酸味が少し強めのレモネードは、なんとなく、昨日の件で整理しきれなかった混乱したままの頭の中を整理してくれる感じがした。

ふわふわの紅茶のシフォンケーキは、口の中に入れると、数回噛んだだけで溶けていく。

レモン風味の生クリームが絶妙なアクセントになっていて、爽やかさが際立つ。

「…おいしい」

「よかった。これもメニュー候補」

満足した笑顔でそう言うと、カウンターを挟んだ私の向かいに座った直樹。

「即フらなかったのは、迷うくらいは好印象だってことだよ」

「えっ?」

「よくよく考えてみなよ。入社式から、ずっと片想いってさすっごい一途ってこどだよ?」


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