日替わりケーキとおしゃべりタイム
「梅田はどんな男に惹かれるの?」

えっ…

まさかの直球に、私の箸が止まる。

箸を一度置いて、考えをまとめる。でも、よく考えたら、自分のタイプって分かんないかも。

「…こんな人っていうのはないかな…。今までもタイプはバラバラだったし…」

長続きしたことなんて一度もない。しかもいつも振られてばっかり。

「…じゃあ、俺にも可能性ありだ」

そう言って、取り分けたシーザーサラダを食べた井上くんはどこか嬉しそう。

聞くなら、今かな…。

「井上くん」

「ん?」

ビールを飲んでいた井上くんは、私の呼びかけに反応して、グラスを置いた。

「…昨日、考えても考えても理解できなかったんだけど。…私のどこが好きなの?それに、入社式って…接点あったかなって…」

私と井上くんの間に少しの沈黙が流れる。

「入社式は…俺が一方的に一目惚れ」

えっ

「ひ、一目惚れ…!?う、嘘だよ」

私の人生において、そんなワードが私に向けられるなんて、あり得ない。

思わず、勢いよく否定してしまった。

「いや、嘘じゃねえよ」

私の言葉に即答した井上くんは、少しだけ顔が赤くなっていた。

その様子に、私まですごく恥ずかしくなっていく。

「…まだ何色にも染まっていない梅田が1番キラキラして見えた」

「…ただの地味な新入社員だっただけだよ?」

周りの同期の社員の垢抜けた感じに、ものすごくびっくりしたのは、今でも覚えている。




< 24 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop