日替わりケーキとおしゃべりタイム
『本気でやりたいこと見つかった』

直樹の答えは、シンプルなものだったし、妙に納得した。

今までなんとなーくそうしてきたっていう様子を間近で見てきたから。

『やりたいことって?』

『ばあちゃんの喫茶店継ぐこと』

そういえば、直樹のおばあちゃん、腰を悪くして、50年間続けてきた喫茶店を閉めるって言ってたっけ。

おばあちゃんっ子だった直樹のことだから、決意の固さは相当なものだった。

『だから、これから製菓の専門学校通って、そういうお店で修行して、ばあちゃんに恥ずかしくないくらい腕磨いてからもう一度店再開する』

もう、直樹の頭の中には、プランがしっかり立ててあって、私は圧倒されてしまった。

そして、さすがだなとも思った。










「お待たせ」

回想していた私の前に差し出されたのは、ミントの葉と生クリームの添えてあるガトーショコラ。

「甘さ控えめ。今日の飛鳥の気持ちに合ってるかも」

それってどういう意味?

と聞こうと思ったけれど、食べてみてからにしようって思って、フォークを手に取って一口食べた。

「…悔しい」

「それは、どうも」

私の言葉に、直樹は満足げに答える。





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