日替わりケーキとおしゃべりタイム
「今日は素敵なお店に連れてきてくれてありがとう」

「どういたしまして。気に入ってくれてよかったよ。気が向いたら、梅田だけでもたまに顔出してやってよ。喜ぶと思うよ」

井上くんは、私の言葉に満足した様子でそう言って大きく伸びをした。

ふと、井上くんと店長さんの関係が、私と直樹の関係と似ている気がして、私の頬の筋肉が緩む。

「どうした?」

不思議そうに私を見るの井上くん。

「あっ…えっと…私と井上くんにも似てるところあったなって思って」

「似てるところ?」

「うん。私も、たまに行く場所があるの。まだ準備中の喫茶店なんだけど…」

頭の中に、直樹のいるあの喫茶店が浮かぶ。

「へー、じゃあ今度俺も行ってみたいな」

「え?」

そういえば、直樹に井上くんの話してるんだった。連れていったらどういう展開になってしまうのかちょっと予想できない。

「…もしかして…そこにいるのって、男?」

「う、うん。で、でも幼馴染だから」

そう答えながら、なんで自分は言い訳っぽく言ってるんだろうと思った。

「ふーん。そっか、幼馴染か」

井上くんはそう言うと、少し考え込む様子を見せた。

そして、しばらくして私に半歩近づいて、一言。

「俺、酔ってるんだよね」
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