日替わりケーキとおしゃべりタイム
ショッピングモールの駐車場について、車を降りる。

2人で並んで入り口に向かって歩いていると、前方でじっと私たちを見つめる女の子の存在に気がついた。

あれ…?

もしかして…

「飛鳥…ちゃん?」

私が声をかけるより先に、女の子が私の名前を呼んだ。

やっぱり

「紗智ちゃん?だよね!」

1年前に会った時のあどけなさが少し抜けて、うっすら化粧をした大人っぽくなった紗智ちゃんは、直樹の溺愛する妹。

紗智ちゃんは、直樹そっくりの人懐っこい笑顔で私の元へ駆け寄ってきた。

にこにこ笑顔の紗智ちゃんだったけれど、視線が井上くんに移った途端、表情が固まる。

「飛鳥ちゃん…彼氏?」

「あっ、うん?」

そう答えると、紗智ちゃんの表情から笑顔が消え、こわばった表情へと変わる。

あれ…?

「…お兄ちゃん、このこと知ってるの?」

「えっ…?」

「だって、だって…」

そう言って、両手で自分の頬を包み込んで、焦り出す紗智ちゃん。

私は突然のことに頭の整理が追いつかない。

「…お兄ちゃんの馬鹿ー!」

えっ?

紗智ちゃんはそう言うと、私の両手を突然ガシッと掴んだ。

「飛鳥ちゃん…また後でね」

直樹そっくりのくりっとした大きな瞳で私を見つめると、紗智ちゃんは急足で去って行った。

今のやりとりは一体…。





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