日替わりケーキとおしゃべりタイム
「そういえば昔、大学生の時だったかな。滅多に飲まないコーヒーフロート飲んだ時、氷とアイスとコーヒーがちょうどシャーベット状になった部分が妙に美味いって思ったの思い出した」

井上くんは、私のコーヒーフロートを指差して、懐かしそうに話した。

「それ、すごく分かる!」

私も同じことを思ったことがあって、その時の気持ちを共有できることに、すごくテンションが上がった。

井上くんは、私がコーヒーフロートを飲む様子を優しい表情で見つめている。

「…久しぶりに、一口食べてみる?」

自分自身の口から、まさかこんな言葉が出てくるなんてびっくりだった。

井上くんは、きょとんと私を見て、苦笑いをする。

「俺、そんなに食いたそうにしてた?」

「…うん。そんな気がしたから」

そう言うと、井上くんはちょっと考えて、私のスプーンを握る手の上にスッと手を添えて、すくっていたバニラアイスをパクッと食べた。

自分から声をかけたのに、あまりにもあっという間の出来事で驚いていると、井上くんは、

「懐かしい」

と照れ臭そうに笑った。


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