日替わりケーキとおしゃべりタイム
「…懐かしいついでに、俺の昔話してもいい?」
「う、うん?」
井上くんは、ほっと息を吐いて、自分の前髪を掻き分ける。
「俺の母さん、毎日のようにお菓子作ってたって言っただろう?」
「うん」
「でもさ、ある日突然、作らなくなった」
「えっ…?」
「嫌々食ってたわけじゃなかったのに、本当に突然」
お母さんの方からお菓子作りやめたってこと?てっきり、甘いものが苦手になったから、作るの控えたんだと思ってた。
井上くんは、少し間を置いて、笑ってはいたけど、悲しげな瞳で私を見る。
「…弟が家に来たんだ」
弟…?
「今疎遠になってるって言ってた…?」
「うん。後で飛鳥に話すより、早めに話しておきたいから。驚くと思うけど、話し続けていい?」
私が頷くと、井上くんも小さく頷いた。
「…異母兄弟ってやつ。親父、隠し子いたんだって。中3の秋に突然連れてきてさ…」
隠し子…。
ドラマの中のような話が、現実に身近な人の家庭で起きていることに、頭がまだ追いつけない。
「…驚いた…よね?」
「うん。それなりに大人の話も理解できる年頃だったからね。すっげー複雑な気持ちになったのは覚えてる。でもさ、弟はすっごい性格良くて人懐っこくて可愛いやつだったから、俺はすぐ受け入れられたんだ」
懐かしそうに微笑む井上くんに、私もほっと胸をなでおろす。
「う、うん?」
井上くんは、ほっと息を吐いて、自分の前髪を掻き分ける。
「俺の母さん、毎日のようにお菓子作ってたって言っただろう?」
「うん」
「でもさ、ある日突然、作らなくなった」
「えっ…?」
「嫌々食ってたわけじゃなかったのに、本当に突然」
お母さんの方からお菓子作りやめたってこと?てっきり、甘いものが苦手になったから、作るの控えたんだと思ってた。
井上くんは、少し間を置いて、笑ってはいたけど、悲しげな瞳で私を見る。
「…弟が家に来たんだ」
弟…?
「今疎遠になってるって言ってた…?」
「うん。後で飛鳥に話すより、早めに話しておきたいから。驚くと思うけど、話し続けていい?」
私が頷くと、井上くんも小さく頷いた。
「…異母兄弟ってやつ。親父、隠し子いたんだって。中3の秋に突然連れてきてさ…」
隠し子…。
ドラマの中のような話が、現実に身近な人の家庭で起きていることに、頭がまだ追いつけない。
「…驚いた…よね?」
「うん。それなりに大人の話も理解できる年頃だったからね。すっげー複雑な気持ちになったのは覚えてる。でもさ、弟はすっごい性格良くて人懐っこくて可愛いやつだったから、俺はすぐ受け入れられたんだ」
懐かしそうに微笑む井上くんに、私もほっと胸をなでおろす。