日替わりケーキとおしゃべりタイム
『家の前に着いたら連絡するよ』

「うん。夜ご飯は…?」

『帰りの新幹線で食べたから、気を遣わなくて大丈夫。じゃあまた後で』

「うん」

井上くんが電話を切り、私もお店の中へと戻る。

直樹は厨房の片付けをしていて、戻った私に気がつくとアイスティーを手際よく準備をしてくれた。

「ありがとう」

「ん。それさ、知り合いが、営業に来て試しにもらった茶葉で入れたんだ。違い、分かる?」

固く絞った台拭きをタオル掛けに丁寧にかけて、私の向かいに座った。

ストローで軽く混ぜてから一口飲む。

あっ。

「後味がスッキリしてる気がする。苦味が、少ない?」

感じたままにそう伝えると、直樹は真剣な表情で頷いて、自身も紅茶を口にした。

「若い子も飲みやすそうだね」

「なるほど。そう考えれば、取り寄せてもいいかも」

直樹は、近くにあったメモに茶葉の名前を書き、二重丸をした。

「メニュー色々増えてきたよね」

「うん。でもまだ看板メニューが決まってなくて。ばあちゃんの時からあるサンドイッチをちょっとだけアレンジしようかと思ってるけど…」

そう言って、何かを考え込んだ直樹は手をポンっと叩いた。

「今度、彼氏紹介するときに、試食お願いできないかな。飛鳥の彼氏も理由あった方が来やすいだろうし」



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