日替わりケーキとおしゃべりタイム
直樹の提案に半分驚いたけれど、確かに目的があった方が来やすい気はする。

「聞いてみるね」

「うん。まあ、無理にってわけじゃないから」

直樹は私の食べ終わった食器を下げて、綺麗に洗うと、エプロンを脱いだ。

「今日はもう帰るから、送ってくよ」

「えっ?でも家の方向真逆」

ここに来るようになってから、そんなこと言ったことないのに、突然どうしたんだろう。

「中々帰るタイミング同じになることなんてないから、たまにはね」

直樹は爽やかな笑顔でそう言うと、私にヘルメットを差し出した。

「もしかして、…バイク?」

「もちろん」

忘れていた。直樹は高校の頃からバイクに乗っているんだった。

何度か後ろに乗せてもらったことがあるけれど、それはもう何年も前のこと。

絶叫マシン嫌いの私は、いつも目をつぶって直樹の服に必死でしがみついていた。

「大丈夫。運転上手くなったから」

そういう問題じゃないんだけど、直樹は全然気にする様子も見せずに、帰る準備を始めている。

「私、本当に1人で大丈夫「ちょっとは、俺にもカッコつけさせてよ」

私の言葉に被せてそう言うと、直樹はクスッと笑って電気を消していく。

これは、断れないパターンだ。

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