日替わりケーキとおしゃべりタイム
「本当?嬉しい!」

まさか本当に食べてくれるなんて思っていなかったから、再び私のテンションが上がる。

沸かしたお湯でコーヒーを入れて、ケーキもセットしてテーブルにセットする。

2人で手を合わせて、いただきますを言い、フォークで一口分取って、井上くんに差し出すと、パクッと口に入れた。

「甘っ。…あっ、でも美味い」

甘さに一瞬怯んだ様子の井上くんだけど、すぐに驚いた表情でそう呟いた。

「でしょ?」

「うん。美味いよ、これ。甘いけど、ちゃんと美味い」

頷く井上くんに、なぜか私が得意げな気持ちになってしまう。

私も美味しさを噛み締めながら、ケーキを食べる。

んー…最高。

美味しさに頬の筋肉が緩んでいく。

きっと、ほっぺたが落ちそうって、こういうことなんだろうな。

井上くんはケーキを食べる私を、優しい表情でコーヒーを飲みながら見守ってくれている。

「なんか、いいな。こう言う時間」

「ふふっ」

ケーキを頬張りながら、井上くんの言葉に、私は微笑む。

温かい眼差しの中、最後の一切れを口へと入れて、フォークを置く。

井上くんがクスッと笑ったことに気がつき、井上くんを見ると、すっと手が伸びてきて、私の髪の毛を耳にかけた。

井上くんの長い指が、私の耳にかすかに触れ、熱がそこから広がっていく。

そしてそのまま後頭部に手を置かれて、私と井上くんの唇が重なった。

徐々に濃厚なキスに変わり、ブラックコーヒーのほろ苦さが、私の口の中に残るキャラメルの甘さと混ざり合うのを感じながら、私の体の力が抜けていった。

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