日替わりケーキとおしゃべりタイム
私の行動に、驚いた表情の井上くん。少しして、小さく息を吐くと、

「…分かった。じゃあさ、明日行きたい寿司屋に一緒に行ってくれる?」

「お寿司…?」

「うん。すっごい旨い店」

井上くんがそういうくらいだから、相当美味しいに決まってる。

「い、行く!」

頭の中が、お寿司のことでいっぱいになってしまった単純な私。

ううん、そうじゃなくて、一緒に行くだけじゃなくて、ちゃんとお祝いの仕方考えなきゃ。

私の様子に、井上くんは、またくくくっと笑って、満足そうな表情を見せた。

プレゼント、何か欲しいのないのかな。

「今欲しい物って何?」

「ないよ」

私の質問にあっさりと答える井上くんに、私は拍子抜けしてしまう。

「何も?」

「うん。あまり物欲ないから」

「でも、誕生日だよ?」

そう聞き返すと、私の目をまっすぐみて、ニコッと笑った井上くん。

「さっきも言ったけど、強いていうなら、飛鳥と一緒にいる時間があればそれでいい」

「…井上くん、キャラが変わってる」

「そう?元々こんなだよ?俺」

キョトンとする井上くんに、今度は私が恥ずかしくなってくる。

「とりあえず、今年は一緒に寿司食べに行ってくれるだけで充分だから」

「う、うん」

井上くんの大きな手が、私の頭を優しく撫でた。

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