日替わりケーキとおしゃべりタイム
「井上くん」

「ん?」

「お誕生日、おめでとう」

私の言葉に、井上くんが照れ臭そうに笑う。

「…ありがとう」

恥ずかしそうな井上くんの姿に、私の胸がキュンとときめく。

普段は爽やかイケメンなのに、このギャップはずるいと思う。

「明日、夕方5時に迎えでいい?」

井上くんが、ワイシャツの袖を直しながら尋ねる。

「うん」

午前中に誕生日プレゼント選んで買ってこよう。

何にしようかな…。















「お待たせ」

次の日の待ち合わせ時間に、マンションの前に停めてある車に近づくと、井上くんが降りてきて、助手席のドアを開けてくれた。

「お寿司屋さん、どこにあるの?」

「ここから車で30分くらい。ちょっと遠いけど、味は本当旨いから」

いつもより浮かれていることが伝わって、井上くんも行くの楽しみにしているんだなって感じる。

気づけば、私も顔の筋肉が緩んで、自然と笑顔になっていた。

「寿司ネタ、何が好き?」

「んー…基本寿司ならなんでもだけど…」

ハンドルを握る井上くんは、私の質問に悩んだ後、思いついたように、

「貝系」

「美味しいよね。ツブ貝とか、ほっき貝とか」



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