日替わりケーキとおしゃべりタイム
「…お前だよ」

えっ…?

「早く飛鳥の顔見て充電したいって思ってた」

「じゅ、充電?」

「うん。見て安心して、元気もらって、充電。そして、あわよくば、抱きたいって思った」

〝抱きたい〟

その言葉の意味を理解した私の体が、急に熱を帯びる。

「…馬鹿」

「うん、単純なんだよ。好きな女を抱いて、心も体も満たされたいって思う」

くくっと笑う井上くんを見て、さらに一層私の体温が上がる。

「…夜、俺の家来いよ」

その意味は、私でもすぐに理解できる。

「明日…仕事」

「朝、家送るから。なんなら、今日のうちに泊まる準備して、明日そのまま出勤もアリ」

泊まる準備…。

悩んでいると、井上くんが片手で私の頭にポンっと手を置く。

大きな手のひらから、井上くんの体温が伝わり、私の心臓の鼓動が速くなっていった。












お寿司屋さんから少し離れたところにある駐車場に車を停めて、お店の前まで歩いた。

昔ながらのお店の並ぶ、小さな路地の一角に、伝統的な作りのお店があった。

「ここ」

ガラガラっと扉を開けると、中からお店の人の元気のいい声が聞こえてきた。

「翼、よくきてくれたね」

カウンターに立っていた職人さんが、優しく微笑む。

70代くらいの小柄なおじいちゃんで、頭に鉢巻きを巻いている。私の存在に気がつくと、

「いらっしゃい。孫が世話になってます」

と照れ臭さの混じった表情を見せる。

孫って…えっ?

「俺のじいちゃん」






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