日替わりケーキとおしゃべりタイム
「おかえりー」

直樹の陽気な声で迎えられたけれど、私の前の井上くんは固まったまま動かない。

そして、直樹と話していた男の人もこちらを見て固まっている。というか、井上くんを見て驚いていた。

「翼くん…なんで」

「それ、こっちのセリフ」

知り合い…?

直樹も私と同じ気持ちなんだと思う。2人を交互に見て、不思議そうな表情を私に向けた。

「お二人さんは、知り合い…?」

直樹の言葉に、一緒にいた男の人が、はっとする。

「あっ、あの…俺の兄」

えっ?

「えっ?そうなの?」

私と全く同じ反応を、直樹もする。

「…ああ、飛鳥、紹介する。弟の律」

「は、はじめまして、同僚の梅田飛鳥です。」

「はじめまして。草加部律といいます。…翼くんの彼女…?」

「うん」

弟さんの言葉に、照れることもなくあっさりと返事をする井上くん。

「兄をよろしくお願いします」

律くんは、そういうと優しく微笑んだ。

うわあ…井上くんそっくり。ということは…2人ともお父さん似なんだ。

思わず、私の頬の筋肉が緩んで、にやけてしまう。

「翼くん、可愛い彼女さんだね」

そんなことを整った顔で、さらっと言ってしまう律くんは、もしかしたら小悪魔要素があるのかもしれないと思ってしまった。





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